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魅力発掘インタビュー 銀座の不動産屋で働くということ

Vol.3 人を幸せにする「言霊」と「初心」/加藤聖也さん

2023.08.23
CLASS ROOM WEB-MAG

不動産屋目線が発信するウェブマガジンです。銀座を中心とした建物の話、外国人の方にもおすすめのマニアックな観光地情報。社長や社員のコンテンツは、私たちが目指す会社の未来をご覧いただけます。

魅力発掘インタビュー
銀座の不動産屋で働くということ。

WEBマガジン<CLASS ROOM>を運営する銀座の不動産会社・東京中央建物。年代・出身地・経験...さまざまな道を経てこの"銀座の不動産屋さん"にたどり着きました。日本では一日の8時間以上を"働く"に費やす人がほとんど。働くこと=生きること。どんな想いで働いているかが人柄そのものなのかもしれません。このインタビューでは、座右の銘、人生を変えたひと言、親や先生に言われて印象に残っている言葉など...「大事にしている言葉」をお聞きして、その人生の一端をひもときます。
※写真は社長兼CLASS ROOM編集長三田正明が日頃の感謝を込めて撮影しています。

インタビュー3回目の今回は、東京中央建物のなかでも、外国人向けサービスに特化した事業を行う加藤聖也さんにお話を伺いました。東京に中長期滞在する外国人向け住まい探しのサポートと、お客様に日本語を教える日本語講師の仕事をメインに取り組んでいます。また、海外の方へ日本語の良さを伝えるYouTubeチャンネル「美しい日本語tips」を配信するなど、ご自身の国際性と感性を活かしながら、東京中央建物のなかでも独自のポジションを築いています。外国人のお客さまからも、「聖也さんのサービスに感動した!」という感謝の声がたくさん寄せられています。芸術や文化にも造詣が深く、知的な言葉が次々に飛び出す、普段とは一味違ったインタビューになりました。加藤さんの日本語の美しさを感じながら、ぜひお楽しみください。

Profile

出身地:東京都文京区/部署:訪日外国人サービス事業部(Tokyo Apartment Inc.)/仕事内容:外国人向け住まい探しのサポート・日本語講師/在籍:12年

「言葉を大切にする世界」を生きる

Q1.あなたが大切にしている言葉は何ですか?

人生で出会ったたくさんの素敵な言葉の中から、今日は二つの言葉をご紹介します。1つは、 万葉集に収められている柿本人麻呂の歌にある言葉です。「しきしまの 大和の国は 言霊の さきはふ国ぞ まさきくありこそ※」のなかにある「言霊」。そしてもう1つは、「初心忘れるべからず」という言葉です。私はもともと、美術や音楽などの「言葉で表せない世界」が好きでした。社会人になり日動画廊への就職を経て、東京中央建物へ。現在は、「言葉で表せない世界」から「言葉を大切にする世界」へ大きく舵を切り、"人との出会い"や"言葉を交わすこと"の醍醐味を日々感じながら過ごしています。 ※やまとの国は言葉の霊力が物事をよい方向に動かしてくれる国です。どうか私が言葉で「ご無事でいてください」と申し上げることで、無事であってほしい。

美しい心から正しい言葉を発することく

Q2.「言霊」に出会ったきっかけはなんでしたか?

日本語講師になる時に万葉集を読み直して出会いました。万葉集は日本語の魅力を発見するために欠かせない古典だと思っています。古代から、日本では言葉に力が宿ると考えられていました。「正しい言葉はその言葉通りの良い結果を実らせ、逆に粗暴な言葉は災いをもたらす」と信じられてきたそうです。例えば宴が終わる時には「終わり」という言葉の代わりに「お開き」という発展のイメージを持った言葉を使います。言葉に宿る力を信じるとても素敵な使い方だと思います。「美しい心から正しい言葉を発すること」は人を幸せにする。私はそう感じずにはいられません。

世阿弥の「初心」が意味するところ

Q3.「初心忘れるべからず」にまつわるエピソードは?

「初心忘れるべからず」は、能楽を完成させた世阿弥の「花鏡(かきょう」」という伝書にある言葉です。ロンドン留学中に、クラスメイトに日本の文化を伝えたくて観に行った能舞台で興味を惹かれ、出会った言葉です。一般的には「初めの志を忘れてはいけない」と理解されていますが、世阿弥の言葉にはちょっと違う意味があります。人には若い時、失敗し成長する段階があります。でも失敗は若い時だけではなく、中年になっても老年になっても繰り返します。「かつての試練にどう対処したのか(=初心)」を忘れないでいれば、人は成長することができる。"繰り返し起こる失敗を乗り越える心構え"を意味する言葉みたいなんです。新たな試練、失敗に遭遇するたびに、「初心」を思い出して私も成長を重ねてゆきたいですね。

「無為自然」でありたい

Q4.仕事でもプライべーとでも"どんな人でありたい"と思っていますか?

人と出会い、言葉を交わす楽しさを日々感じています。仕事柄、相手はほぼ海外の方ですが、やはり「言霊」は意識しています。言葉の力で幸せにもなるし不幸にもなるのは世界共通。相手の国の言葉を使うだけで、相手が心を開いて笑顔で話し始めてくれることもあります。言葉に心を込めることの大切さを感じます。リーマンショックやパンデミック...世界が乗り越えてきた試練。今後もきっと形を変えた試練があるのでしょう。「初心」を忘れず、準備することも意識しています。私は常に「無為自然」、あるがままに自然体でありたいと願っています。それぞれが違う考えを持っていることを認め、自分の考えを強要せず自然体で受け止めたい。普段から、相手に私が聞きたいことを聞くのではなく、まず相手が話したいことを聞く姿勢を大事にしています。

住まい探しのその先にあるもの

Q5.人生で挑戦したいことなど今後思い描いている未来を教えてください。

外国人のお客さまに住まいをご紹介するだけでなく、その先のサービスを提供したいと思っています。最近始めたYouTubeチャンネル「美しい日本語tips」もその一つです。これをもっとたくさんの方々に観ていただいて、日本語の面白みを感じていただきたいです。また、文化や芸術に憧れて日本にいらっしゃった方のなかには、自身の作品を発表したいという方がいます。その発表の場としてアートギャラリーを設けてみたいですね。どこかにいい空き物件ないかな...(笑)。外国人向けの不動産会社はいろいろありますが、独自のサービスを展開することで、他との差別化を図り付加価値あげていきたいですよね。社会貢献という切り口から個性ある不動産会社として生き残っていくのもありじゃないかなと思っています。

INTERVIEWER MOCHIZUKI SHUN

関西出身。
祖父母がアパート経営をしていたことがきっかけで、不動産の世界へ。投資用物件の売買仲介から、美容系サロン用物件の仲介を経て、東京中央建物で新築マンションの販売を経験後、現在は同社経営企画室で会社をもっと良くしていくプロジェクトに参加しながら、広報として活動中。会社の魅力を発信していく上でとても重要な社員インタビューでは、社員それぞれが持つ熱い思いや魅力をどんどん伝えていきたい。

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